けあともの掲示板を見ていると、介護職員の給与に関するスレッドが盛り上がりを見せており、閲覧数もコメントも多くなっています。実際に介護現場で働いている人にとっては給与がいくらもらえるかはとても大事ですし、他の介護職員がいくらもらっているのかも、当然気になるところですね。
介護職員の平均給与は、全産業平均よりも低いということで話題にもなっています。それを受けて介護職員処遇改善加算も今年の4月から手厚くなりました。
「平成25年度介護従事者処遇状況等調査結果の概況(厚生労働省)」を見てみると、ひと口に介護職員といっても地域、運営法人の種別、サービス事業所の種別でだいぶ開きがあるのがわかります。またそこから、資格、勤続年数、経験年数、役職、能力給などでも変わってきます。非常勤より常勤、非正規より正規が高いのは言うまでもありません。
介護職員のなかには、ひと月30万円以上を手にする人もいれば、10万円そこそこの人もいます。介護職員は人手不足で売り手市場。優秀な介護職員の引き抜き合戦が行われている地域もあると聞きます。
給与だけを考慮するならば、上のデータを参考にすると、地方公共団体が運営する介護保険施設に勤めると高い給与をもらえそうです。反対に低いのは、規模の小さな営利法人の通所介護、訪問介護、グループホーム、小規模多機能型居宅介護あたりです。
最近知ったのですが、従業員一人雇うのに、その従業員の年収の3倍の経費がかかると言われているそうです。
「給与 経費 3倍」と検索すると、だれが言い出したのか知りませんが、たくさんの情報が出てきます。2倍というのもあれば5倍というのもあります。3倍と仮定したとき、単純計算で人件費率は売り上げの33%以内と言い換えることもできると思います。
「平成26年介護事業経営実態調査結果の概要(厚生労働省)」では、介護老人福祉施設の人件費率は57.6%となっていました。先の話を当てはめると大赤字ですね。
人件費の3倍云々は一般企業の話のようなので、労働集約型産業(売り上げに対する人件費の割合が高い産業)である介護施設等に単純に当てはめることはできませんが、実際の手取り額よりもかなり大きな経費がかかっていることは事実です。
介護施設にしても通所介護にしても、定員が決まっているため売上を上げるのはなかなか難しい部分があります。とすると、やはり介護報酬をあげてもらうのが一番いいのですが、社会保障費の増大に加え少子高齢化なども相まってそう簡単にはいきません。こうなると介護職員の給与は平行線のままか、もしくはさらに引き下がる可能性すらあります。
どうしたら介護職員の給与を上げられるのか。一法人内での工夫にも限度があります。
そこで一つには、将来的に介護ロボットの活用が期待されています。
介護報酬は上げられない、介護職員の人件費率も上げられない、介護職員はもっと不足してくる。これを解決するために、労働集約型から資本集約型の方向へシフトしていくということです。
ロボットや道具でできる部分はそれに任せて、少ない人手で介護を行っていけば、介護職員不足は解消され、給与も上げられるかもしれません。
これはやや遠い未来の話なので、現在介護職員として働いている人はこの恩恵を受けられないかもしれませんね。むしろ、今年度の報酬改定では介護報酬減に加え処遇改善加算?の新設(算定率アップ)により、人件費率がアップしたところのほうが多いでしょう。
話が飛躍してしまいましたが、現状では介護職員処遇改善加算以外に全ての介護職員の給与を一律に底上げするというのはなかなか難しいようです。